黒いあいつの最期

maked 95/12

 

僕がと知り合ったのは、全くの偶然だった。

その世界から遠のいて、10年近くの月日が流れていたので、

僕がまたそこに
足を踏み入れることになろうとは、

思ってもみなかったのだ。

 

 

繁華街のはずれの店の中にはいた。

一目惚れ、と形容するしかないのだろう。
こんがり健康的に焼けた
肉体美に僕は目を奪われた。

僕はがどうしても欲しくなった。
しかし、
を受け入れる自信が、そのときの僕にはなかった。

 

 

 

何度か店に通ううちに、

僕は
我慢が出来なくなっていた。

は頑固だから、君とは相性が合わないかもしれないよ」

そんな店の主人の言葉に大きくかぶりをふって、

僕は
口説いた

 

 

7月の熱い夜、はとうとう僕の部屋にやってきた。

 

 

いがいとすんなりと、は僕に溶け込んだ。

最初は戸惑いをみせた
も、しだいに僕の掌に

その身を委ね、
敏感な部分にさわると、

歓喜の泣き声を洩らすようになった。

 

 

僕は夢中だった。

 

 

若かったのかもしれない。

いや、それを
覚えたばかり

興味からか、僕は毎晩
交わった

 

 

の敏感な部分を捜す。何時間も、それこそ

右手が熱くなるほど夢中で

まさぐった

 

 

一ヶ月も経つと、はすっかり僕の奴隷だった。

何を要求しても素直に訊く
を、

僕は出逢ったときよりもっとはげしく
いぢりまくるようになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

悲劇は突然やってくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

との付き合いも、もう三ヶ月目を迎えていた。

いつものように、
寝室に向かった僕は、

蛍光灯の
怪しい光の中で

無言でたたずむ
の横に座った。

 

 

「今日も始めようか」

 

 

最初は冷たかったの身体も、すぐに

僕の
体温とひとつになる。

 

 

黒光りする流線型のしなやかな肢体を、

僕の手の温もりのなかに
埋める

そのとき、
と僕は、一体となる。

僕が求める優しい
愛撫

敏感に反応する。

 

あぁ、今日も寝不足になりそうだ。

 

 

 

 

…だが、今日のはすこしおかしかった。

 

急に部分の元気がなくなった。

なだめても、すかしても、

その「
部分」はぴくりとも動かない。

僕は
人差し指にすこし力を加え、

ぐっと押してみた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「みぢっ」

 

 

 

 

 

 

 

…なにかが終わった音がした。

そう、それが
彼の最期だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もう、おわかりでしょう。
彼の名はまうす。
左クリックがいかれちゃったよぉ(;_;)

PCさわるの10年ぶりで、あの頃は
マウスなんて無かったもんなぁ。
こんなに寿命が短いもんなの?

3ヶ月の短い命を散らした彼に感謝。
しかし、ノートパソコンでホントに助かった(^^;ゞ
ショートカットキーを真面目に覚えようと誓った、12月の寒い夜のお話でした(^^;ゞ

 


このお話は、ちょうどWindows95が出たばかりの頃に書いたものです。
あの頃は、ペンティアム75(笑)の、DELLの真っ黒のノートパソコンを愛用して
いました。ネットに はまった頃で、Niftyに毎日行っていたころの話です。

presented by えいてん