自動販売機の逆襲(2)
maked 96/02

【2本の珈琲σ(・ ・)1本事件】


数年前の事。会社の前のUCCの自動販売機の、缶コーヒーが社内で流行っていた。
社員の殆どは、缶コーヒーを朝買ってきていた。もちろん、σ(・ ・)も毎朝その自販機で
ハーフビターを買って、自分の席で飲んでいたんだ。

 σ(・ ・)は毎朝1番早く会社に着くので、煙草をふかしながら、ゆっくり昨日の書類に
目を通していると、少し興奮して新入社員が出社してきた。

「○○さん!(○○は、σ(・ ・)の名前ね)今日いつもの自販機でコーヒー買ったら、
2本出てきました!」

え?σ(・ ・)のときは、1本だったぞ?
彼の右手には、確かに2本の缶コーヒーが。

σ(・ ・)「そりゃいいや(*^o^*)じゃ、ボクもちょっくら買ってくる」

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

…さて、1Fに着いたぞ。100円入れて、と。(←この頃コーヒー100円)

うりゃ!

 

「ゴトン」

 

ありゃ?(゚-゚;)ゞ?一本しかでない…(;_;)ま、いっか。たまたま彼の時は
2本出たんだろう。このコーヒーは昼から飲むか。

6階の事務所に戻って、新入社員に「でなかったぞ」と言うと、
「おっかしいなぁ?」と首を振る。かつがれたかな?

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

しばらくして、同期の社員が出社してきた。彼の手にも2本の缶コーヒーが!

嬉しそうに、

「お、えいてん!今日は前の自販機壊れてるみたいだな。2本も缶コーヒーでてきたぞ」

「いや、σ(・ ・)さっき行ったんだけど、σ(・ ・)の時は1本しかでなかったんだ。」

「あ、お前、右から3番目のボタン押したか?」

「うーん、覚えてない。そっか。右から3番目ね。もっかい行って来るわ」

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

…さて、1Fに着いたぞ。100円入れて、と。(←この頃コーヒー100円)
右から3番目のボタンっと。

うりゃ!

 

「ゴトン」

 

ありゃ?(゚-゚;)ゞ?一本しかでない…(;_;)おっかしいなぁ??

失意の元に事務所に戻ったσ(・ ・)

「あれ?なんで一本しかもってないの?」と同期の彼

「…一本しかでぇへんねん(;_;)」

「おっかしいなぁ」

「お前等、σ(・ ・)をかついでへんか」

「ギャハハハハ!なんでわざわざそんなことせなあかんねん」

「それもそうやなぁ」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「○○さぁ〜ん」

あ、後輩の女性社員が出社してきた。(*゚゚*) エエッ!彼女の手にも2本の缶コーヒーが!

「今日、下の自販機って、缶コーヒー2本出るみたいですね(*^o^*)」

新入社員「そうそう」
同期社員「ウンウン」

σ(・ ・)「ボク…1本…」

「あれ?そうなんですか?でも、○○さんも2本持ってるじゃないですか。」

σ(・ ・)「…これは…2回…買ったの…(・・、)」

「でも、私2本出ましたよ。から3番目のボタンで」

σ(・ ・)「え??右じゃなくって?」

「はい」

同期社員「あれ?左だったっけ?」

σ(・ ・)「左じゃねぇか!  …もっかい行って来る」

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

…さて、1Fに着いたぞ。100円入れて、と。(←この頃コーヒー100円)
左から3番目のボタンっと。

うりゃ!

 

「ゴトン」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…  1本 … ひゅ〜るり〜 (T_T)

 

 

 

 

 

 

 

 

 


茫然と事務所の扉の前で立ち尽くす、大いなる灰、状態のσ(・ ・)

すぐ後のエレベータで課長がやってきて、σ(・ ・)の肩をポンっとたたいて、

「おはよう!○○君!いやぁ、今日は朝から良いことがあったよ」

…課長の右手にも2本の缶コーヒー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(T_T)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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事務所の扉を開けると、僕の席の上で、1本の飲みかけのハーフビターと、
2本の缶コーヒーが、並んでσ(・ ・)ににっこり微笑んでいた。

σ(・ ・)は右手に持った缶コーヒーのプルリングを無造作に取り、一息で飲み干した。

少し 大人の味 がした。

こんなことって、ありません?